IGRA検査の注意事項

IGRA検査の注意事項

採血時の注意事項

  1. 採血管温度:22±5℃,   採血時の環境温度:22±5℃
  2. QFT専用採血管は比較的ゆっくり血液を吸引。採血量が規定量有る事を確認してから採血管を外す。
  3. QFT専用採血管は1.0 mL±10%の採血が可能。
  4. 採血量は、採血管ラベルの黒い印の範囲内(0.8~1.2 mL)とし、3本の採血量は同量とする。仮に血液量がこの範囲を外れた場合、正しい検査結果は得られない。
  5. 採血順序は、陰性コントロールTB抗原陽性コントロールの順序で行う。
  6. 翼状針チューブを使用して採血する際は、以下の事項に注意する。
    ①専用採血管はしっかり固定すること。
    ②採血を開始する前に、他の新しい真空採血管でチューブ内の空気を抜気し、採血管の入り口までチューブに血液が満たされていることを確認する。
    ③専用採血管に規定量採血された事を確認する。
  7. シリンジで採血後、専用採血管に分注する場合は、針刺し事故及び血液凝固に十分注意し、それぞれの専用採血管に規定量(1mL)を分注する。

採血後の注意事項

  1. 採血後すみやかに採血管内壁にコーティングされているヘパリンと血液を混合し、血液の凝固を阻止する。
  2. 培養直前に採血管を優しく上下に10回、もしくは5秒間振ってからインキュベーターに入れ、37℃で16時間~24時間培養する。

培養時の注意事項

  1. 検査依頼元で血液培養を行う場合、採血管を立てた状態で37℃のインキュベーターで16~24時間培養。
  2. 採血管は採血後16時間以内に37℃のインキュベーターで培養を開始。
    培養開始までの採血管は22±5℃に保存。
  3. 採血後冷蔵又は冷凍した血液は検査不能。
  4. 採血後すぐに培養を開始できない時は22±5℃に保存し、必ず16時間以内に培養を開始。
    培養直前に再度採血管を上下に5秒間又は10回振る。
  5. インキュベーターは、CO₂、加湿機能は必要としない。

培養後の注意事項

  1. 培養後の遠心分離操作は、2,000~3,000RCFで15分間。
    もし分離できない時は、もう一度更に高い回転数で遠心。
  2. 培養後は遠心無しで、2~27℃で3日間使用可能。
  3. 培養後は遠心分離して採血管のまま、あるいはサンプルチューブに血漿を分取して、4℃以下で使用するまで保存可能。ただし採血管のまま凍結保存は不可能。
  4. 血漿検体は、2~8℃で28日間、-20℃以下(-70℃以下が望ましい)で最低3ヵ月間使用可能。
  5. 血漿検体をサンプルチューブに採取時は、分離剤及び沈殿物を吸わないように注意する。また、検体の流出と蒸発防止のために必ずキャップをする。

ELISA操作上の注意事項

  1. 基質添加後の反応には遮光が必須。

検体搬送時の注意事項

  1. 培養前の検体は、22±5℃で搬送。
  2. 培養後の検体は2~8℃で搬送(4℃が望ましい)。

T-スポット.TB検査の注意事項

採血時の注意事項

  1. 採血管温度:21.5±3.5℃, 採血時の環境温度:21.5±3.5℃
  2. 採血管:エンドトキシンフリーのものを推奨
  3. 抗凝固剤: Vacutainerクエン酸ナトリウムCPT、ヘパリンナトリウムCPT、ヘパリン(ナトリウム、リチウム)等を使用して血液凝固を阻止する。
    ただし、採血から検体処理までの時間が8時間を超える場合は、抗凝固剤はヘパリンのみを使用。クエン酸ナトリウムはカルシウムイオンと結合して坑凝固作用を示す。このため血球容積が変化するので、細胞性免疫機能検査には適さない。
    T-Cell Xtend試薬を使用することで、採血後32時間まで検査可能。ただし本試薬はTリンパ球の活性を採血直後の状態で維持するものではなく、採血後長時間保存中に生じるIFN-γ産生阻害物質を、物理化学的に除去するためのものである。
    従って、T-Cell Xtend試薬を効果的に使用するためには、検体血液中の的となるPBMCの生存活性を落とさないことが重要で、高い検査精度を保持するためには採血直後から検査を開始するまで21.5±3.5℃を維持しなくてはならない。
  4. 採血に使用できない抗凝固剤:EDTA(禁忌)
  5. 採血量:2歳までの小児は2mL
    2~9歳以下の小児は4mL
    10歳以上の小児および成人は6~8 mL。

検体搬送時の注意事項

  1. 搬送温度:21.5±3.5℃
  2. 搬送用機材:T-スポット検査専用の温度管理搬送用ボックスを使用
  3. 夏季、冬季の温度管理は特に厳しく行い、(常温=季節の温度)という誤った考え方で採血後の血液を保存・搬送しない。
  4. 搬送時間:採血後32時間までは検査可能とされているが、「生体内の細胞性免疫反応を体外で再現させる検査:ex vivoの検査」で有るため、人に依って検査可能な時間は異なる。この点に考慮して検査を開始することが望ましい。

PBMC調製時の注意事項

  1. ※禁忌事項 : Ficoll-Paque PLUSに血液を重層して遠心した後、Ficoll-Paque PLUSもPBMC層(バフィーコート)も血漿層も一緒にデキャントで洗浄用コニカルチューブに移し、二回目の遠心(洗浄操作)を行ってはいけない。
  2. PBMCの調製はバフィーコートのみを採取しなくてはいけない。
  3. 調製に使用する洗浄液、培養基類:37℃
  4. Ficoll-Paque PLUS液温度 :21.5±3.5℃
    本液は細胞分離用比重液である。このため、本液の使用温度が規定温度範囲を逸脱した場合は、目的とする細胞集団以外の細胞の混入を許す可能性が高くなる。
  5. 正確に250万PBMC/mLを調製:この調製が不正確な場合(範囲幅で調製した場合)、検査に使用する細胞の数は不適切な数となる。このため得られる陽性スポット数には不正確なスポットが混在(或いはあるべきスポットが欠落)し、結果として精度の低い検査結果と成る。
    正しい結果を得るためには、個々の血液から回収した個々のPBMC数に対する厳密な調製を行い、T-スポット検査ストリップ1ウエル当たり正確に25万個のPBMCを添加することが不可欠である。

培養時の注意事項

  1. 培養器の条件:37℃、5%CO₂、加湿
  2. プレートを一旦培養器にセットした後は、培養時間中静置したまま動かさない。
  3. 培養時間:16~20時間培養する。

スポットカウント時の注意事項

  1. スポット可視化:バックグラウンドを出さないために、二次抗体との反応を開始する前にウエルを良く洗浄(赤血球やヘモグロビン色素を除去する)し、洗浄用PBSの水滴を切って直ぐに二次抗体を添加する。
  2. 二次抗体の反応は必ず2~8℃(適温4℃)で1時間行う。
  3. 反応終了後はPBSで良く洗浄し、基質を添加して21.5±3.5℃で7分間作用させた後、蒸留水で洗浄して反応を停止させる。これを乾燥させてスポットをカウントする。乾燥が良くないとスポットの形がはっきりせず、精度が低下する。

     

  4. スポットの数読は必ず別々な人で3回行う:1回目はスポットリーダーが読んだスポットからニセのスポットを除外する。2回目も同様の操作を行う。3回目は1回目と2回目の結果を照合し、一致していない処はスポットの数読に精通した熟練技師が検証し、スポット数を決定する(オックスフォード.イムノテック株式会社のイギリス本社検査所及びUSAメンフィス検査センターで必須として遵守している数読法)。